2010年08月17日

われは海の子

第2部は《バロック風「夏」》です。

新東京ヴィヴァルディ合奏団を率いる指揮者で作曲家の早川正昭さんの傑作に《バロック風「日本の四季」》というのがあります。これは、童謡などお馴染みのメロディを、春夏秋冬に分けてバロック音楽風にアレンジした室内オーケストラ用作品です。まことに楽しく、また美しい曲集です。

その中の「夏」全3楽章を、リコーダー合奏用に再アレンジしました。リコーダー3本+チェンバロという構成にしてみました。チェンバロは本番では電子チェンバロを使います。メンバーの高橋が担当します。

第1楽章は、

●われは海の子 〜バロック風「夏」

「われは海の子」は、文部省唱歌で作曲者不詳。作詞は宮原晃一郎といわれています。

※曲名を今まで「我は海の子」と書いていましたが、『日本唱歌集』(岩波文庫)を見ると、「われは海の子」と表記されているので、今後はこちらに統一します。


 われは海の子
 
 一
 我は海の子白浪(しらなみ)の
 さわぐいそべの松原に、
 煙たなびくとまやこそ
 我がなつかしき住家なれ。
 
 二
 生れてしおに浴(ゆあみ)して
 浪を子守の歌と聞き、
 千里寄せくる海の気を
 吸いてわらべとなりにけり。
 
 三
 高く鼻つくいその香に
 不断の花のかおりあり。
 なぎさの松に吹く風を
 いみじき楽(がく)と我は聞く。
 
 四
 丈余(じょうよ)のろかい操りて
 行手定めぬ浪まくら、
 百尋(ももひろ)千尋(ちひろ)の海の底
 遊びなれたる庭広し。
 
 五
 幾年(いくとせ)ここにきたえたる
 鉄より堅きかいなあり。
 吹く塩風に黒みたる
 はだは赤銅さながらに。
 
 六
 浪にただよう氷山も
 来らば来れ恐れんや。
 海まき上ぐるたつまきも
 起らば起れ驚かじ。
 
 七
 いで大船を乗出して
 我は拾わん海の富。
 いで軍艦に乗組みて
 我は護らん海の国。


後半の歌詞は一般にはほとんど知られていないのではないでしょうか。私も今回初めて知りました。
後半は漢語が増えて、勇壮な歌詞になっています。
最後はやっぱり、ああ、戦争のほうに話が行ってしまうのですね。残念です。
たしかにこうしてみると、学校で教えている三番までの歌詞が、幼き日の郷愁を磯の香に託して歌っていて、優れているように思われます。

リコーダーパートは、アルト1、アルト2/テナー1(持替)、テナー2。

《バロック風「日本の四季」》の多くの曲では、そう簡単に元のメロディが登場しません(^_^;)。メロディを匂わせておいて、きちんとした形で元のメロディが登場するのは、最後の最後だったりするのです。その登場した瞬間が実に気持ちいいんです。

この楽章は、明らかにフランス風序曲を模しています。前半は付点音符によるグラーヴェ、後半はアレグロ・ノン・トロッポのフーガになります。

このフーガがまことに凝っていて、テナー2のソロで始まるテーマは、どことなく「我は海の子」に似ているけれども違うメロディです。6小節目に、このテーマを追いかけてアルト1が入りますが、アルト1が入ったときに、今までテーマを奏でていたテナーパートに「我は海の子」の冒頭のメロディが聞こえるのです。「わーれはうーみのこ、しーらなみのー」というメロディが。つまり、テーマそのものでなく、新しく入ってきたテーマを受ける対旋律の部分に「我は海の子」のメロディが使われているわけです。

言葉では少しわかりにくいかも知れません。コンサートでは、演奏する前に実際に少し吹いてみて、わかりやすく解説したいと思います。楽しいですよ。

(イネガル)
posted by イネガル at 20:00| Comment(0) | 第2回コンサート曲目メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。